介護の現場では、利用者さん一人ひとりが抱えている「痛み」や「苦しみ」に寄り添うことが非常に重要です。しかし、日々のケアの中でその痛みや不安を見逃してしまうことも少なくありません。介護士として、利用者さんの心と体の苦しみをしっかりと理解し、適切に対応することが求められています。
【記事監修者】
堀池和将
~経歴~
特別養護老人ホーム勤務(ユニットリーダー)
サービス付き高齢者住宅勤務(サービス提供責任者・訪問介護管理者・施設長)
~保有資格~
介護福祉士
介護士としての成長を目指すなら、利用者さんの「痛み」を理解することが大切
転職を考えている介護士の方にとって、スキルアップの大切な要素の一つは、利用者さんの「痛み」や「不安」に対する深い理解です。新しい職場で信頼を築くためには、利用者さん一人ひとりが抱える苦しみを見逃さず、その心に寄り添う姿勢が求められます。
転職を機に、こうしたケアへの理解を深めることで、利用者さんからの信頼を得ると同時に、介護の専門職としての成長も期待できるでしょう。
利用者さんの抱える「痛み」とは?
高齢者の多くは、身体的な痛みだけでなく、心の痛みや不安も抱えています。特に施設に入居している利用者さんは、身体の不自由さや健康の不安、そして孤独や悲しみを常に感じていることが多いです。これらの苦しみは、私たちが想像する以上に深刻で、しかも複数の要因が重なり合っていることがほとんどです。
日々のケアにおいて、「この人はまだ痛みが軽いから大丈夫だろう」といった判断をしがちですが、たとえ軽い痛みであっても、本人にとっては大きな苦しみとなります。痛みや不安の重さは、他人が決めるものではなく、本人にとってどれだけつらいかが重要なのです。
症状の軽さではなく、「つらさ」に寄り添う
介護士として重要なのは、利用者さん一人ひとりのつらさに寄り添う姿勢です。症状が軽くても、本人が苦しいと感じていれば、その苦しみは軽視されてはいけません。たとえば、風邪をひいて「風邪くらい」と軽く見られると、誰でも悲しくなったり、悔しくなったりします。利用者さんも同じです。症状がどうであれ、その苦しみをしっかりと受け止め、理解することが大切です。
「この人は平気だろう」と感じたとき、ぜひ一度、自分自身がその立場に置かれたらどう感じるかを考えてみてください。
利用者さんの「痛み」に共感する姿勢を持つ
介護の仕事では、共感する力が非常に重要です。利用者さんの痛みや不安に対して「自分だったらどうだろう」と想像し、その苦しみをしっかりと理解することが求められます。たとえば、自分が人生の最後の日々を「痛み」や「障害の悲しさ」を感じながら過ごすとしたら、そのつらさがどれほど大きいかを考える必要があります。そして、その痛みが周りから理解されずに過ごすことを想像すると、そのつらさはさらに増すことでしょう。
利用者さんにとって、痛みや不安を抱えたまま、その気持ちが周囲に理解されないことが最もつらいことです。「理解されない痛み」は、人生を暗くする要因となり、救いようのない苦しみです。 介護士はその痛みを和らげるために、まず理解し、共感し、そして支えとなる存在でなければなりません。
痛みを理解し、共感するための具体的なアプローチ
転職でキャリアアップを目指す介護士へ:利用者さんの信頼を得るための第一歩
転職を考えている介護士の方々は、新しい環境での適応力だけでなく、利用者さんの信頼を得るための「痛み」や「苦しみ」に寄り添うスキルを強化することが求められます。このような共感力と観察力は、単に優しさだけでなく、介護のプロとしての信頼を築くために不可欠です。
新しい職場を選ぶ際、利用者さんにしっかりと寄り添い、信頼される存在になるための自己成長を目指すことは、介護士としての大きな成長の機会となるでしょう。キャリアアップを考える中で、こうしたスキルは評価されるポイントですし、転職後もあなたを支える強みになります。
まとめ
介護の現場では、利用者さんの「痛み」や「不安」に対して共感し、寄り添う姿勢が求められます。転職を機に、これらのスキルを磨くことで、利用者さんからの信頼を得るだけでなく、介護士としての成長を遂げることができるでしょう。新しい職場でも「頼りがいのある介護士」として活躍するために、共感力や観察力をさらに深めていきましょう。