介護現場は、利用者さんの生活を支える重要な場です。そのため、組織全体が一体となって、同じ目標に向かって進むことが求められます。今回は、介護施設のリーダー層を「カルピスの原液」に例え、組織の強靭さやサービスの品質向上について考えていきます。
【記事監修者】
堀池和将
~経歴~
特別養護老人ホーム勤務(ユニットリーダー)
サービス付き高齢者住宅勤務(サービス提供責任者・訪問介護管理者・施設長)
~保有資格~
介護福祉士
カルピスの原液:リーダー層の重要性
ある会社のミーティングで「ここはカルピスの原液だから、どれだけ濃くなるかが大事」と語られました。カルピスは原液を希釈して作られる飲み物ですが、リーダー層が原液だとすれば、その濃さがチーム全体に影響を与えることは言うまでもありません。
リーダー層がしっかりと濃い「原液」であること、つまり、同じ方向性を持って現場を統率し、質の高いサービスを提供する姿勢が大切です。では、リーダー層が持つべき「原液の品質」とはどのようなものでしょうか?
同じ成分で統率されているか?
まず、リーダー層が同じ思いを共有し、統一されたビジョンを持っているかが問われます。異なる意見や方針がばらばらに存在する組織では、スタッフ全体の動きも分散し、結果としてサービスの質が低下することがあります。
一方、しっかりと同じ成分で統一された原液を持つリーダーたちがいれば、現場に一貫性が生まれ、利用者さんに対して質の高いケアが提供できるでしょう。リーダー間でのコミュニケーションや方針の共有は、介護現場を強くするための基本です。
リーダー層のビジョンや考え方がバラバラだと下の職員は迷ってしまって働きにくいよね。
リーダー層の原液は濃いか?
リーダー層の思いや方針が「濃い」ものでなければ、現場に浸透するころには薄まってしまいます。これは、組織の目標やビジョンがしっかりと定まっているか、または新しいメンバーが加わってもその思いがしっかり引き継がれているかに関わります。
「濃い」原液は、リーダー層がしっかりとした理念や方針を持ち、そこに向かって努力を続けている証拠です。利用者さんのQOL向上を目指すためには、リーダー自身がその方向性を忘れず、組織全体に濃縮された思いを還元することが不可欠です。
サービスの品質は美味しいか?
リーダーが提供する「原液」がまずければ、いくら頑張っても利用者さんに提供されるサービスも質が低くなります。つまり、リーダー層が自らのスキルや知識、サービスの品質を高め続けることが重要です。定期的な研修や勉強会を通じて、自分たちの「原液」を常にアップデートすることが、組織全体の成長に繋がります。
時代に合った原液か?
「賞味期限」の例えは、リーダー層が時代の変化や最新の介護技術に対応しているかを意味します。サービスのトレンドや法改正、新しいケア方法などを理解し、常に学び続ける姿勢が求められます。時代遅れのやり方ではなく、現代のニーズに応じたケアを提供するために、リーダー自身が進化することが大切です。
カルピスが作れているか?
最後に、組織全体を見たときに、そもそも「カルピスの原液」が作れているかどうかを確認することが必要です。特に小規模な施設では、ワンマン体制になりがちで、リーダー層が薄い場合があります。しかし、組織が強くなるためには、リーダー層がしっかりとした方向性を持ち、統率されていることが不可欠です。
まとめ:組織の原液を見直そう
介護施設が強靭な組織を築くためには、リーダー層が「カルピスの原液」として、しっかりと濃く、同じ方向性を持つことが大切です。リーダー同士のコミュニケーションを密にし、時代に合ったケアの提供を心掛けることで、利用者さんに質の高いサービスを提供できる組織へと成長できるでしょう。