ハロー介護職!
いつもは介護職のための介護リテラシーがちょこっと上がるような記事を投稿しており、TikTokでも動画を配信中です。
今回は、「介護職の教え方」をテーマに、新人育成や指導に関するポイントや効果的なOJT(On-the-Job Training)方法について詳しくお伝えします。
これから介護業界に新たに参入する方や、指導を任されたベテラン介護士の方々に役立つ内容を盛り込んでいます。
【記事監修者】
堀池和将
~経歴~
特別養護老人ホーム勤務(ユニットリーダー)
サービス付き高齢者住宅勤務(サービス提供責任者・訪問介護管理者・施設長)
~保有資格~
介護福祉士
介護職の教え方の重要性
介護業界では、人材育成が非常に重要です。
新人がスムーズに業務に馴染み、質の高い介護サービスを提供するためには、効果的な指導が欠かせません。
適切な教え方ができるかどうかが、職場全体の働きやすさやサービスの質にも大きく影響します。
介護職のOJTの注意点
新人教育でよくある問題として、「見て覚えろ」という指導があります。
これでは新人が不安を感じ、結果的に退職につながることがあります。
また、経験者に対しても「ダメなポイントだけ指摘する」ことは避けるべきです。
指導者がただ見ているだけでなく、積極的に関わりながら具体的な改善点を伝えることが重要です。
例えば、オムツ交換の際には、「ここはこうするともっと良いですよ」という具体的なアドバイスをします。
教えることが上手いメリット
新人の信頼を得る
新人は初めての環境に不安を抱いていることが多いです。
丁寧でわかりやすい指導を行うことで、新人の不安を和らげ、信頼を得ることができます。
具体例
新人に業務の流れを説明するとき、「まずはここで道具を準備し、その次にこの手順で利用者さんに対応します」といったように、明確で順序立てた説明を行います。
離職率の高い現場を改善
新人が早期に辞めてしまう理由の一つに、適切な指導を受けられないことが挙げられます。
効果的な指導が行われることで、新人が安心して働ける環境を提供し、離職率の低下につながります。
具体例
定期的なフィードバックを通じて、新人が感じる問題点や不安を解消することが重要です。
「最近どうですか?困っていることはありませんか?」と積極的に声をかけることで、信頼関係を築きやすくなります。
周りの介護職員からの信頼も得られる
指導が上手な職員は、新人だけでなく、周りの同僚からも信頼を得ることができます。
良い指導は職場全体の雰囲気を向上させ、チームワークを強化します。
具体例
新人の成長を見守りつつ、他の職員とも協力してサポートする姿勢を示すことで、職場全体が一体となって新人を支える風土を作り出します。
介護職の指導者の役割と心得
指導者としての役割は多岐にわたります。
新人がスムーズに業務に取り組めるようにサポートしながら、自己成長を促す環境を提供することが求められます。
指導者の心得:
- 共感と理解: 新人の気持ちに寄り添い、理解を示します。「初めは誰でも緊張するものです。焦らずに一つずつ覚えていきましょう」といったような声をかけていきましょう。
- 積極的なコミュニケーション: 双方向のコミュニケーションを心がけます。例えば「何か質問があれば、いつでも聞いてください。私も分からないことがあれば、一緒に考えましょう」とスタンスも有効です。
- 模範となる行動: 自らが模範となる行動を示します。「利用者に対しては常に敬意を持ち、丁寧な対応を心がけましょう」といったことを、自分の行動を通じて示します。
介護職で新人を辞めさせない上で大切なポイント
せっかく新人が入職しても、教え方が問題で辞めてしまうのはもったいないです。
以下に、介護の新人を育てるための具体的な教え方をご紹介します。
新人が仕事に慣れ、自信を持ち、退職を選ばないようにするために、以下のポイントを意識して指導してみてください。
確認作業
新人目線で教育する際、話が長すぎると覚えるのが難しいことがあります。
指導者は話を区切り、新人に「ここまで大丈夫ですか?」と確認を取ることで、理解度を確認しましょう。
人は覚えるスピードが異なるため、適切なタイミングで確認することが重要です。
専門用語を避ける
医療用語などは新人にとって難しいものです。
新人にいきなり専門用語を使うのではなく、その用語の説明を添えて教えましょう。これにより、新人は安心して学習できます。
理由を説明する
指導者は知識量が豊富ですが、新人は未経験者です。
指導者は目線を下げながら、教えたことの理由を説明しましょう。
「このやり方は、この理由からこうなるのです」と具体的に伝えることで、理解度を高めます。
繰り返し教える
新人は覚えることが多いため、忙しい現場でも丁寧に繰り返し指導しましょう。
同じことを何度も聞かれることがあるかもしれませんが、根気よく対応しましょう。
ほめる
新人をほめることでやる気が出ます。
綺麗にできた仕事を褒めることで自信をつけさせましょう。新人が褒められた仕事を忘れないようにし、覚えるスピードを向上させましょう。
明るく楽しく
新人は最初に「怖い、厳しいのではないか?」と不安を抱くことがあります。
明るく楽しく接することで、楽しさを伝えましょう。
厳しさと楽しさをバランスよく伝えることで、新人は仕事に向き合いやすくなります。
新人指導で避けるべきこと
新人指導において、以下の点に注意することが重要です。
ネガティブなフィードバックだけを与える
改善点を指摘する際には、必ずポジティブな点も一緒に伝えるようにしましょう。
「この部分はとても良かったです。ここをもう少しこうするともっと良くなりますよ」といった形でフィードバックを行うことで、新人のモチベーションを維持できます。
抽象的な指示を出す
具体的で明確な指示を出すことが重要です。
「この手順をもう一度見てください」というように、具体的な行動を求めることで、新人が理解しやすくなります。
介護職の新人指導の基本ポイント
新人に対する指導は、以下の基本ポイントを押さえることで効果的に行えます。
明確な指示
業務の具体的な手順を分かりやすく説明することが大切です。
例えば「利用者の体を支える際は、腰を曲げずに膝を曲げて持ち上げましょう」といったように、具体的な動作を示します。
実践と観察
実際にやってみせ、次に新人が実行するのを観察しながら指導します。
「まず私が実演するので見ていてください。その後、あなたが同じようにやってみてください」、とステップバイステップで教えます。
継続的なサポート
初めての業務に対する不安を軽減するため、継続的なサポートを提供します。
「困ったことがあればいつでも質問してください」と言って、安心感を与えましょう。
新人教育スケジュールの重要性
スタートからゴールまでのスケジュールを決める
新人教育を効果的に進めるためには、最初に新人個別の面談を行い、力量を把握することが重要です。
その後、教育内容と範囲を決め、スタートからゴールまでのスケジュールを立てます。
この計画を新人と共有することで、新しい環境での不安を軽減できます。
新人のレベルに合わせた指導
新人と言っても、全くの未経験者と経験者では指導内容が異なります。
覚える範囲やスピードも、新人の技術や知識の熟練度によって異なります。
年齢によっても違いが生じるため、新人のレベルに応じて指導範囲を決めることが大切です。
具体例:
未経験者には、基本的な介護技術から丁寧に指導し、経験者には既に知識のある部分を確認しながら進めることで、指導時間を効率化できます。
新人教育のスケジュールを常時調整
教育スケジュールは、新人の上達具合に応じて常に調整する必要があります。
定期的なフィードバックを通じて、新人の進捗を確認し、必要に応じてスケジュールを見直します。
具体例
「ここまで順調に進んでいるので、次のステップに進みましょう」や「もう少しこの部分を練習しましょう」といった具体的な指示を出します。
新人教育のスケジュールを立てる方法と意味
新人教育を効果的に行うためには、明確なスケジュールを立てることが不可欠です。
スケジュールを立てることで、新人が何を学ぶべきかを明確にし、計画的な指導が可能になります。
スケジュールを立てる方法
初期段階
基本的な業務内容と施設のルールを学ぶ期間を設定します。
中期段階
実践的な業務を少しずつ担当させ、指導者がサポートしながら進める期間を設けます。
後期段階
新人が自立して業務を行えるようになるためのフォローアップ期間を設定します。
スケジュールを立てる意味
スケジュールを明確にすることで、新人が自分の成長段階を把握しやすくなり、指導者も効果的にサポートを行うことができます。
介護職の効果的なOJTの導入方法
OJT(On-the-Job Training)は、実際の業務を通じて新しいスキルや知識を習得する方法です。
介護職においては、実際の現場での経験が非常に重要です。
OJTのステップ
- まず、新人の目標を明確にし、指導計画を立てることが必要です。例えば、1か月後には基本的なケア技術をマスターする、といった具体的な目標を設定します。
- 基本的な業務から徐々に専門的なスキルへと進めていきます。初めは身の回りのケアから始め、次第に医療的ケアを学ぶようにします。
- 定期的なフィードバックを行い、改善点を明確にします。利用者の表情を観察することが大切です。次回はもっと注意深く見てみましょう、と具体的な指摘を行うと良いでしょう。
- 定期的に進捗を評価し、指導方法を見直します。3か月ごとの評価会議を設け、進捗状況を共有し、必要な調整を行うことをお勧めします。
新人の成長を促すフィードバック方法
効果的なフィードバックは、新人の成長を促進します。
ポジティブなフィードバックと改善点をバランスよく伝えることが重要です。
フィードバックのポイント
具体的に
漠然とした指摘ではなく、具体的な行動や結果に基づいてフィードバックを行います。
「利用者の名前を覚えていてくれたのは素晴らしいです。次はその名前を使ってもっと話しかけてみてください」
といったような具合で、これくらい具体的な行動を示してあげるよと良いでしょう。
タイムリーに
適切なタイミングでフィードバックを行い、すぐに改善につなげます。
「今の介助の仕方はとても良かったです。ただ、もう少しゆっくり動くと利用者も安心します」とその場でアドバイスします。
建設的に
新人が前向きに受け止められるよう、建設的な言葉を選びます。
「あなたのアイデアは素晴らしいですが、もう少し具体的に説明してみてください。他のチームメンバーも理解しやすくなりますよ」と、具体的に伝えてあげると尚良しです。
ケーススタディ:成功事例と失敗事例
実際のケーススタディを通じて、効果的な指導方法とその結果について学びます。
成功事例
ある施設でのOJT導入事例では、新人が早期に業務に慣れ、職場の雰囲気も改善されたことが報告されています。
新人が利用者とのコミュニケーションスキルを高め、利用者の満足度が向上した事例があります。
失敗事例
指導者のサポート不足により、新人が業務に対する不安を抱え続け、結果として離職してしまったケースもあります。
初めての業務に対して十分な説明がなく、新人が誤った方法で介助を行ってしまい、利用者に不快な思いをさせてしまった事例があります。
介護職の新人指導で陥りやすい問題とその解決策
新人指導において陥りやすい問題とその解決策について紹介します。
問題①: コミュニケーション不足による誤解
解決策: 定期的なミーティングを設定し、新人の疑問や不安を解消します。定期的なミーティングで、新人の進捗や疑問点を共有するなどして、サポート体制を強化しましょう。
問題②: 業務が忙しくて指導に時間を割けない
解決策: OJTスケジュールを事前に組み込み、計画的に指導時間を確保します。月曜日の午後はOJTの時間として確保するなど、新人指導に集中できる環境を整えます。
介護職の教え方:まとめ
介護職の教え方は、新人のスムーズな業務適応と職場の雰囲気向上に直結します。
効果的なOJTの導入と、指導者の適切なサポートが鍵となります。
新人指導に対する理解を深め、実践することで、介護現場全体の質を向上させましょう。