介護現場には予測不能な出来事があふれており、時にはクスッと笑ってしまうような場面も珍しくありません。今回は、介護職の方が共感できるエピソードをいくつかご紹介しながら、そこから得られる教訓について考えてみたいと思います。笑顔と気づきをもたらす内容をぜひ楽しんでください。
【記事監修者】
堀池和将
~経歴~
特別養護老人ホーム勤務(ユニットリーダー)
サービス付き高齢者住宅勤務(サービス提供責任者・訪問介護管理者・施設長)
~保有資格~
介護福祉士
介護現場のエピソード1:〇〇さんの「歌う朝ごはんタイム」
毎朝、介護施設の食堂で起きる微笑ましい「朝ごはんタイム」。ある利用者さんである〇〇さんは、毎朝決まって「さくらさくら」を歌い始めるのです。みんなが「おはようございます」と挨拶を交わしている最中、ひとりだけ童謡の世界に入る〇〇さん。最初は職員も「どうしたのかな?」と少し驚いたものですが、次第に一緒に口ずさむスタッフも現れるようになり、今ではちょっとした朝の恒例行事に。
教訓1:コミュニケーションの新しい形を見つけよう
〇〇さんの行動は、「自分らしい朝のスタートを切りたい」という気持ちの表れでした。利用者さんが自分らしく過ごせる環境づくりには、固定観念を取り払い、柔軟な対応をすることが大切です。介護現場では、利用者さんの小さな行動に耳を傾け、そこから新たなコミュニケーションの形を見出すことが信頼関係を築くために役立ちます。
介護現場のエピソード2:「お薬はケーキの後で!」の大作戦
ある日の午後、お薬を渡そうとしたところ、「先にケーキが食べたい!」と主張される利用者さん。医師の指示通り、まずはお薬から…と思っていた職員も、その時は少し悩みましたが「それではケーキの後にしましょう」と妥協。ケーキを楽しんだ利用者さんは大満足で、「お薬、今度こそ飲むよ」と快く受け入れてくれたのです。
教訓2:利用者の意欲や喜びを大切にし、順序や形式にこだわりすぎないこと
介護職は、利用者さんの生活を支える立場として、柔軟な思考が求められます。利用者さんがやりたいことや楽しみを尊重することで、支援への協力意識も高まります。「どの順序が利用者さんにとって良いのか?」と考えながら柔軟に対応することで、円滑な介護サービスが提供できます。
介護現場のエピソード3:「失敗も成功のうち!?」靴を逆に履いちゃった〇〇さん
ある日の夕方、玄関で靴を履こうとした〇〇さん。左右の靴を逆に履いた状態で「準備OK!」と満面の笑顔。しかし、靴の履き違えに気づいた職員がそっと教えても、〇〇さんは「これはこれでいいの!」と主張。職員も「なるほど、それならよし」とそのまま見送りました。もちろん、数歩で「やっぱりおかしい」と気づかれ、笑いながら履き直すという場面が。
教訓3:失敗を恐れず、温かく見守る姿勢の大切さ
介護の現場では、時に利用者さんが小さな失敗をすることもあります。そんな時こそ、失敗を責めるのではなく「一緒に気づき、次に活かす」という柔軟な姿勢が重要です。温かく見守りながら、本人が気づいて自ら行動を修正できるようにサポートすることで、利用者さんも自己肯定感を持ちながら安心して過ごせます。
介護現場のエピソード4:「ついに名探偵誕生?ベッドサイドでの事件」
施設内でよくある出来事として、ベッドのサイドテーブルにちょっとした「宝物」が置かれていることがあります。ある日、利用者さんが「ここに置いていた飴がない!」と探し回り始めました。職員も一緒に捜索し、どこかに紛れ込んでしまった飴をみんなで探すうちに、「名探偵」のような大捜索が始まりました。最終的には枕の下から発見され、全員が笑顔に。
教訓4:利用者の気持ちを尊重し、楽しくサポートする心の余裕を持つ
利用者さんにとって、些細な物も大切な「宝物」。小さなことでも一緒に解決することで、利用者さんの安心感が生まれ、信頼関係も強まります。介護現場では、どんなに小さなリクエストも真剣に受け止め、利用者さんの気持ちを尊重することが大切です。
介護現場に笑顔と気づきをもたらす「クスっとエピソード」の大切さ
日々の介護現場には、大変さや責任の重さも多い反面、利用者さんと過ごす中で心が温まる瞬間や、思わず笑ってしまう出来事がたくさんあります。今回ご紹介したエピソードを通じて、利用者さんとの関わり方や現場でのコミュニケーションの大切さを再認識していただけたら幸いです。
介護職の皆さんが、利用者さんと笑顔を共有しながら日々を充実させ、学びを深めていけるよう、今後もエピソードと教訓を記事にしていきたいと思います。